Monastery of Batalha 世界遺産の頁へ
バターリャの勝利の聖母マリア修道院( Mosteiro de Santa Maria da Vitoria)
トマールからバターリャに行く道が結構むずかしかったのは、パターリャの表示が出なかったからです。世界遺産だったら、かなり遠くからでも表示が出ると普通は思うはず。この道で良いのか、間違ったのではないかと何度も人に聞いてやっと目指す修道院を見つけました。走っていると、道路から建物を見ることができ、道路脇に駐車スペースがあるので、着いてしまえば楽ちんです。 バターリャの意味は英語でバトル、戦いのことです。ジョアン1世(ペドロ1世の息子)が王位をかけ、カスティーリア軍と戦ったときに圧倒的不利な形成にもかかわらず、勝利したことを感謝し、マリア様に捧げた修道院です(ポルトガル王家の系図参照)。歴史に、もし、はないですが、ここで負けていたらポルトガルという国は存在せず、スペインになっていたかもしれませんね。
『マリア様、もし、この戦いに勝利できたなら、あなた様に捧げる修道院をお作りいたします』なんて、想像してしまいます。その喜びの証が、このすばらしい彫刻で埋めつくされてる建物なんですね。ジョアン1世がどれほどの感謝をしたかは、目の前の建築物を見るとよくわかります。
そして、回廊に入ると2名の兵士に守られた無名兵士の碑の部屋があります。国家を守るために戦死した兵士たちに敬意を表しているという、他の修道院には見られないものです。
繊細な浮き彫りがあちこちに施されているので、イスラムの建築を見ているようです。ポルトガルやスペインの一部がイスラム勢力に支配されていた歴史上、イスラム建築の影響を受けているのでしょうが、バターリャの修道院は他の建物より、より深くそれを感じました。美しい回廊のアーチには、レリーフを透かして陽が差し込み、さながらアルハンブラ宮殿のようです。
いったん外に出てから右の方に回っていくと未完の礼拝堂があります。何が未完なのかといぶかりながら、足を入れると、そこは天井がない外壁のみの建物。空が青く光が降り注いでいたので、これはこれで印象的でした。
王の回廊のコーナーにある噴水
柱のレリーフが繊細です
未完の礼拝堂の柱に刻まれたレースのような彫刻