Monastery of Alcobaca 世界遺産の頁へ
アルコバサの聖母マリア修道院(Mosteiro de Santa Maria)
アルコバサの修道院は、シトー派修道会で、悲恋の王子ペドロとイネスの柩があることで有名です。ガイドブックでこの話を読んだときは、悲劇で可哀相だと思えました。しかし、ペドロが王になったときにイネスの暗殺にかかわった者を探し出し、生きたまま心臓をえぐり出したなどという記事を読むと、王家の人間としての自覚が足りない人間だったような気もしてきます。
この時代は、国を守るためにの政略結婚は当たり前のように行われていたはず。王が純粋だったのか、狂気の恋だったのか、ペドロ1世は、この悲恋物語以外は目立った功績も残していないそうです。
正妻コンスタンサとイネス以外にも、テレザ・ロレンソとの間に子供がいます。その子は、後のジョアン1世で、ペドロの37歳のときの子ですから、イネス一途だったとも思えません。が、悲恋物語は、題材としては興味深いので、ポルトガルでは文学や演劇にとりあげられているそうです。
柩の透かし彫りがレース模様のようですばらしく、ライオンがユーモラスな表情をしているのも愉快です。願わくば、柩がもうちょっと低い位置にあるとか、顔がみえるくらいの台があれば、主人公たちの顔を拝めたでしょう。最後の審判のときに目覚めて起き上がり、最初に見るのがお互いの顔になるよう、お互いの足を向けて安置されているなんて、ロマンチックといえばロマンチック、自己満足といえば自己満足です。
修道院の向かって左側に行くとホールがあり、受付がそこにありました。すでに、最大の見物を見終わってしまった我々は奥にさらに進むかどうか迷いましたが、せっかく来たのだからと奥に進むことにしました。
先に進むと、回廊と中庭が広がり、意外とこの修道院が大きいものなのだとわかりました。うっかり、柩だけ見学して帰ってしまう所です。いろいろ一度に見ても、記憶はごっちゃになり、特に建物の内部は覚えていないことが多いのですが、写真を見るとそれが引き金になり思い出せることも結構あります。
この浴槽のようなものは、洗い場でしょうか。これを見たときはリンガとよく似ていると思ってしまったのです。そんなはずはありませんよね。
修道院の前の喫茶店は、地元の人らしき人がショーケースの上もカウンターがわりにして立ち飲みしていきます。おいしそうなお菓子が陳列されていましたが、午前中のせいか食べている人は見かけませんでした。みなさん、気軽に小さいカップのコーヒーをちょいちょと飲むと、さっさと出て行きます。
ペドロ1世の柩は、6頭のライオンが支えています。
石棺の下のライオンが笑っているようでユーモラス。
ペドロ王の顔が彫刻されています。もっと私の背が高ければ、顔の部分をリアルに撮れたんでしょうに。
暗殺者の顔に似せたという、人間に支えられているイネスの柩
イネスの顔、白鷺のような首のイメージはあります。